ネットでも人気!医療スクラブについての考察

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医療ドラマを見ていて、どこか昔とは違うことに気づきませんか?そう、ここ数年、お医者さんといえば定番だった白衣というものを見かけないのです。実際に病院へ行っても、白衣を着ているお医者さんが見当たりません。

代わりにお医者さんが着ているのは、医療服「スクラブ」でした。このスクラブとやら、ネットで検索してみると、お医者さんたちの新定番のようで……。そこで、スクラブについて、ちょっと考察してみましょう。

医療スクラブの「スクラブス」

お医者さんはいつから白衣を着ていたの?

お医者さんが白衣を着るようになったのは、19世紀末ごろと言われています。西洋医学の現場で公衆衛生が重要視されるようになり、白い白衣を着用するようになったのです。それまでは、不衛生であることが病気を招くという理解もなく、お医者さんが現場で手を洗うこともなかったのだとか。

そのような環境なので、お医者さんの衣服も白衣ではなく、礼服である黒いコートを着用していました。これは医療が神聖なものであり、そういう現場にふさわしい色として黒を着用していたようです。看護師さんが着ているナース服の起源は、中世ヨーロッパ時代のカトリック教会の修道女と言われています。

そのため、修道女が用いたベールの名残がナースキャップだという説もあります。その後、ナイチンゲールが登場し、ふつうの長袖のワンピースに白い袖なしエプロン、それに帽子を着用するというスタイルがしばらく続きました。

ワンピース型の白衣を日本で初めて採用したのは日本赤十字社です。看護救護員として戦場に女性看護師を派遣する際に、長袖でロング丈のワンピースに大きめの帽子をかぶるというスタイルで送り出しました。

お医者さんにも流行があるの?

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医療ドラマを見ていると、お医者さんが着る医療服にも流行があるのがわかります。1966年に田宮二郎によって初めて映像化された山崎豊子原作の小説「白い巨塔」では、白衣姿のお医者さんが集団で院内を練り歩く総回診のシーンが印象的でした。

その後、1993年に放映された「振り返れば奴がいる」でも、主演の織田裕二と石黒賢は丈の長い白衣を着ていました。そして、昔の医療ドラマを見ていると、白衣の中はワイシャツとネクタイというスタイルが多かったように思います。

それが、最近の医療ドラマを見てみるとどうでしょう。1999年から放映されている「救命病棟24時」シリーズでは、江口洋介も松嶋菜々子もスクラブを着用しています。

また、2008年から放映されている「コードブルー」の山下智久も、2017年放映の「コウノドリ」の綾野剛も、みんなスクラブを着用していました。

そして、実際の医療現場でも白衣姿のお医者さんを見かけることは少なくなりました。

試しに「山ピー」「スクラブ」でネット検索してみると、山下智久が着用していたスクラブを取り扱っている通販ショップなどがわんさとヒットします。

この山下智久着用のスクラブは、「ヤマピーカラー」などと呼ばれ生産が追いつかないほど売れているとか。ということで、どうやら、お医者さんの医療服にも流行というものがあるようだということが判明しました。

医療用スクラブとは新しい形の白衣

そもそもスクラブって何?

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そもそもスクラブは手術着でした。昔の医療ドラマをみればわかると思いますが、白衣全盛の時代でも、手術の際には緑色のスクラブを着用しているお医者さんがほとんどでした。語源は「ゴシゴシ洗う」という意味の「スクラブ」で、文字通りゴシゴシ洗っても痛みにくい頑丈な生地が使われています。

袖は半袖、首元はVネックになっているのが特徴で、似たような医療服に「ケーシー」と呼ばれるものもありますが、こっちは袖が半袖で首元がハイネックになっているのが特徴です。また、スクラブが最初に流行したのは1990年代のアメリカの医療現場だと言われています。

確かに、アメリカの医療ドラマ「ER緊急救命室」の放映開始が1993年で、このドラマではお医者さんたちがグリーンやブルーのスクラブを着ていました。当時、日本のお医者さんと比べてやけにカッコよく見えたのを覚えています。

ちなみに、スクラブによく似たケーシーですが、その名前の由来は、1961年に放映開始されたアメリカの医療ドラマ「ベン・ケーシー」からきています。もともとは床屋さんがきていた白衣で、その昔、お医者さんではなく床屋が外科手術を行っていた時代があり、その名残でお医者さんが着用していると言われています。

スクラブが人気の秘密

多くのお医者さんがスクラブを着用するようになったのは、スクラブが作業着として優秀だからです。スクラブは薄くて、軽いため、動きやすいのです。また、ゆとりのあるデザインで圧迫感がないので、医療現場での診察や手術、介護、さまざまなシーンで、その業務を邪魔することがありません。

確かに、前にボタンがあり、膝丈の白衣では、何かと動きが制限されてしまいそうです。それに比べてスクラブは、自由度が高いのでしょう。このように、スクラブは作業着として実に優秀なデザインなのです。さらに、「ゴシゴシ洗える」という語源の通り、手軽に洗濯機で洗えるというメリットもあります。

白衣やワンピース型のナース服のように特殊な形状をしているとクリーニングにも手間がかかります。最近はそれだけでなく、素材自体も吸収性が良く、速乾機能などを備えたものが販売されるなどして、より高機能で使い勝手の良いものが増えているのも人気の秘密ではないでしょうか。

医療現場で人気があるスクラブの白衣

カラースクラブが増えたのはなぜ?

そういえば最近は、スクラブだけでなく、看護師さんが着ているパンツスタイルの看護服も、真っ白って見かけないと思いませんか?これは、医療現場において「白衣性高血圧症」という現象が問題になったため、白衣が減ったと言われています。

白衣性高血圧症とは、白衣を見たことで緊張したりストレスを感じたりすることで、一時的に血圧などが上昇してしまう現象のことです。そのため、家で血圧を測ると正常値なのに、病院で測ると数値が上がってしまう人がいるのです。

そこで真っ白な白衣をではなく、カラースクラブを導入する医療機関が増えました。ちなみに、昔から手術着がグリーンやブルーなのは、白の補色残像という現象が問題になったからです。補色残像とは、長時間同じ色を見ていると、目を離したときに見ていた色の対照色である補色の残像が見えるという現象で、手術で長時間血液の赤色を見ていると、術後に赤の補色である緑色の残像が視界に強く残ってしまうのです。

そして、この現象は、あらかじめ周りに補色であるグリーンやブルーを配しておくことで防ぐことができます。そこで、手術着にグリーンやブルーが用いられるようになったのです。